もくじ
私たちは概算見積で概ね予算に納まる見通しがついた段階で建設会社を決めるのがいいと考えます。細部まで決め切り実施設計が完了してから建設会社数社から見積徴収をして選定するという方法もありますが、だからといって予算に納まる保証はありません。むしろ時間がかかり、中小企業の工場・事務所の建設プロジェクトではあまりおすすめしていません。時間がかかる程、会社としても関わる人達のマンパワーと時間が取られます。操業に間に合わない、なんてことまであり得ます。
また、鉄骨などの資材発注が遅くなるなどスケジュールが遅延するリスクがあります。現在は生活に関する色々なものが値上がり傾向です。特にインフレ気味の経済情勢下では早期発注が大事です。
概算見積の過程で、見積内容はもちろんのこと、どんな会社か、担当者はどんな人か、施工実績、フィーリングなどパートナーとなる建設会社を選定しましょう。建設会社も人間と同じで性格や得意不得意なことがあります。お客様と相性の良い性格、建てようとしているもの(木造か鉄骨造か。大きさは。など)が得意か不得意かを見極めることが大切です。
概算見積段階で建設会社を選定すると、実施設計期間、確認申請期間で約4ヶ月から半年ほど時間があります。そのため、建設会社はあらかじめ現場の人員配置予定を立て、鉄骨、型枠、電気、設備など主要業者を押さえることができ、安定した施工が可能になります。
また、建設会社とコストダウンの様々な打合せ内容を実施設計に反映させることができます。早い段階でお客様、設計事務所、建設会社のワンチームを作り、1つの目標に向かう体制を作り上げることがコストダウンの近道です。
最後に、建設会社出身の私たちだからこそ建設会社の気持ちもわかります。来るか来ないか分からない仕事に前のめりにはなれません。時にインフレ気味の経済情勢下では建材の価格も不安定です。刻一刻と情勢が変わる中でも大きな額が動くのが建設プロジェクトです。発注する=お金を出すから偉いということではなく、同じ目標に向かうパートナーとして建設会社も対等に扱って下さい。早い段階で双方がやりましょう!となることで信頼関係も生まれ良い建設プロジェクトになります。
実施設計図面に基づく本積算では、建設会社は工種別に専門業社(鉄骨、型枠、サッシ、クロス、天井、床、電気、設備など)から見積りを徴集します。
建築の単価は魑魅魍魎としています。単価比較に意味がない理由でも書きましたが、ただでさえ正解・不正解がない中、同じ建設会社内でも工事を担当する所長によって専門業社は提示する値段を変えてくることがあります。段取りのいい所長だと専門業社はスケジュール通りに現場に入り、手戻りなく工期通りに終わらせることができ、予定通りの利益を上げることができます。
しかし、段取りの悪い所長だと最初から様々なリスクを見積に上乗せします。そこでも価格差が生じます。どんな所長が現場を担当するのか、も建設会社に確認しましょう。