工場・事務所建設のコストダウンのポイント③
建設会社との調整能力 1

建設会社との調整能力1

大幅なコストダウンは建設会社との調整能力がすべてです。見積ドクターの強みは建設会社出身のスタッフが多く、設計事務所でもあることです。工事見積書作成の仕組み、建設会社の組織、社内意思決定の仕組み、担当者の社内での権限、風土、社歴など把握したうえで価格調整にあたることができます。ここでは理想的な建設プロジェクトの進め方を元に、見積もりの考え方をお伝えします。

概算見積は建物適正規模を探る作業である

お客様のいろいろなご要望を聞き、全てをそのまま図面に反映させ工事の見積りすると、必ず予算をオーバーしてしまいます。私たちが設計事務所として建設プロジェクトを進める際、まずは概算用の図面を作成し概算見積りを建設会社にお願いします。お客様、建設会社と検討を重ね、概ねプロジェクト予算内に納まる見通しをつけてから実施設計に着手します。

概算用図面、概算見積は一度で済まないこともあります。予算オーバーの原因はいろいろありますが、経験上建物規模によるものが多いです。したがって概算見積を取ることは、予算に合った建物の適正規模を探る作業とも言えます。

その見積書は概算見積か杜撰(ずさん)見積か

こうして出来上がった概算用図面を受け取った建設会社では、積算担当者が概算用図面から必要となる鉄骨などの数量を拾い、過去のデータや積算資料などを参考にしながら値入れをします。概算用図面は平面図、立面図、仕上げ表程度しかなく、その図面から積算担当者が前提条件を設定し、それに基づいて値入れをします。

実は概算見積を作成する能力は建設会社によって大きな格差があります。同じ図面で概算見積を作成しても、数枚の見積書しか作れない会社もありますし、100枚以上の見積書を作成してくるところもあります。

数枚の見積書の場合、大体が過去の施工物件の坪単価から追いかけて算出しているケースが多いです。全く同じ建設プロジェクトはなく、前提条件が異なる見積なので、予算に合わない時に何をどう変えたらいいのかわかりません。これは概算見積ではなく「杜撰(ずさん)見積」といったほうがいいと思います。
情報量が少ない中でも、前提条件を仮定する能力が建設会社には問われます。より具体的に前提条件を仮定できる建設会社は工事経験が豊富と言えるでしょう。このような建設会社とはコストダウンの検討をスムーズに行うことができます。

工場・事務所建設のコストダウンのポイント

工場・事務所建設のコストダウンのポイント① はじめに
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コストダウンのポイント①
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工場・事務所建設のコストダウンのポイント② 単価比較に意味がない理由
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工場・事務所建設のコストダウンのポイント④ 建設会社との調整能力 2
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工場・事務所建設のコストダウンのポイント ⑤工法検討・設計の見直し
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コストダウンのポイント⑤
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工場・事務所建設のコストダウンのポイント⑥ 建設会社には丁寧な対応で 1
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工場・事務所建設のコストダウンのポイント⑦ 建設会社には丁寧な対応で 2
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コストダウンのポイント⑦
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望月郁夫

1977年(昭和52年)に明治大学卒業、東急建設入社。
現場で雑用、経理処理、原価管理、資材発注などを7年、営業2年を経験。1986年(昭和61年)高弥建設入社(岩手県盛岡市)入社。東京支店立ち上げに従事し、1933年(平成5年)盛岡に転勤、1936年(平成8年)専務取締役営業本部長、2000年(平成12年年)代表取締役、2002年(平成14年)負債総額340億の民事再生申立。
以降10年かけて自力弁済。2018年には過去最高益を更新し退任。
同年5月ジュークアンリミテッド社を設立。
代表取締役会長、現在に至る。

民事再生や自力再生はそれだけでかなりの分量になるのでご興味のある方は別途ご連絡ください。