もくじ
大幅なコストダウンは建設会社との調整能力がすべてです。見積ドクターの強みは建設会社出身のスタッフが多く、設計事務所でもあることです。工事見積書作成の仕組み、建設会社の組織、社内意思決定の仕組み、担当者の社内での権限、風土、社歴など把握したうえで価格調整にあたることができます。ここでは理想的な建設プロジェクトの進め方を元に、見積もりの考え方をお伝えします。
お客様のいろいろなご要望を聞き、全てをそのまま図面に反映させ工事の見積りすると、必ず予算をオーバーしてしまいます。私たちが設計事務所として建設プロジェクトを進める際、まずは概算用の図面を作成し概算見積りを建設会社にお願いします。お客様、建設会社と検討を重ね、概ねプロジェクト予算内に納まる見通しをつけてから実施設計に着手します。
概算用図面、概算見積は一度で済まないこともあります。予算オーバーの原因はいろいろありますが、経験上建物規模によるものが多いです。したがって概算見積を取ることは、予算に合った建物の適正規模を探る作業とも言えます。
こうして出来上がった概算用図面を受け取った建設会社では、積算担当者が概算用図面から必要となる鉄骨などの数量を拾い、過去のデータや積算資料などを参考にしながら値入れをします。概算用図面は平面図、立面図、仕上げ表程度しかなく、その図面から積算担当者が前提条件を設定し、それに基づいて値入れをします。
実は概算見積を作成する能力は建設会社によって大きな格差があります。同じ図面で概算見積を作成しても、数枚の見積書しか作れない会社もありますし、100枚以上の見積書を作成してくるところもあります。
数枚の見積書の場合、大体が過去の施工物件の坪単価から追いかけて算出しているケースが多いです。全く同じ建設プロジェクトはなく、前提条件が異なる見積なので、予算に合わない時に何をどう変えたらいいのかわかりません。これは概算見積ではなく「杜撰(ずさん)見積」といったほうがいいと思います。
情報量が少ない中でも、前提条件を仮定する能力が建設会社には問われます。より具体的に前提条件を仮定できる建設会社は工事経験が豊富と言えるでしょう。このような建設会社とはコストダウンの検討をスムーズに行うことができます。