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概算見積は基本設計段階で見積作業を行います。よって実施設計に比べ図面枚数は少なく、各建設会社で数量算出の前提条件を考えながら見積を行います。概算能力が低い会社では、過去の案件を参考にした「坪いくら」程度の算出根拠がよく分からない見積になりがちです。
工場、倉庫、事務所は建売住宅やマンションのように同じ条件で量産される建築物ではありません。立地もサイズも仕様も条件は案件ごとに異なります。
特に工場は中に入れる機械の種類、生産ラインの考え方に設計も大きく影響されます。お客様からよく聞かれる「坪いくらが妥当ですか?」という質問に見積ドクターが即答しない理由がこれです。概算段階で建設会社が設定した前提条件が曖昧な場合、その後のコストダウン作業も進めようがありません。
前提条件は工事経験の積み重ねがないと設定することは難しいです。まずは事例が多い建設会社を選ぶと良いでしょう。
しかし、ホームページや営業マンが持ってくる資料にたくさん建設事例が載っているから安心だ、ということでもありません。長い時間をかけて積み重ねた経験を勉強会や研修などで社内共有できているか、もポイントになります。何十年も前の案件に携わった人がずっと同じ建設会社にいるとは限りません。技術や経験を継承することに前向きな勉強熱心な会社かどうか、という社風も併せて建設パートナーを見極めましょう。
しっかりとした概算見積を作成できる建設会社でも組織内の「自己保身」がコストダウンの大きな妨げになるケースがあります。積算担当者は現場で実行予算を作成する際、現場担当に指定してきた数量が少ないと責められることを嫌い、どうしても数量を多めに拾う傾向があります。
それぞれの工種でこれを行うと地理も積もればで、価格は高いものになってしまいます。また営業担当者も利益率の低さを追求される事を避けるため、安全を見て経費率を上げてしまいます。
私は地方建設会社で経営者をしていました。経営だけでなく、営業マンとしてトップ営業もしていました。社内で建設案件の見積りをする際も担当者には「いくらかかるか?」ではなく「これくらいで出来ないのか?」という大枠の金額を指示し、どう予算に収めるかを考えさせながら作業させていました。この方法だと、責任は金額の指示をした私にあります。責任の所在を社内で明らかにすることで、担当者は踏み込んだ金額を算出できるようになります。
建設会社の社長が営業や、見積書を理解出来ると交渉は比較的に進めやすいですが、そうでない場合はいくら組織のトップでもリスク回避しか考えず見積金額に責任を持つことができず、残念ながら腰が引けてしまう事が多いです。
このように建設費のコストダウン検討では見積内容精査、設計や工法の検討といった技術的なアプローチだけでなく、建設会社の体質、組織風土、歴史をよく読み込みこともポイントです。建設会社との金額交渉は何重にも重なった鎧を一枚づつ剥がしていく作業に似ています。
それぞれの建設会社に歴史があり、社風が異なり、社長のバックボーンも異なる。営業担当者、積算担当者がそれぞれいて、それぞれの考え方で数量を拾う。そしてそれぞれの専門業社がいる。従って、建設会社の数だけ工事価格があるのです。
それらを多角的に見極めて建設コストダウン策を練るのが見積ドクターです。
建設会社出身で設計施工をたくさん行ってきた私たちならではのサービスです。
建設プロジェクトが進行中だが不安を抱えている、これから建設プロジェクトを計画しているなどどの段階でもお気軽にご相談ください。